年も明けきってすっかりおとそ気分も抜けてきた今日この頃、 携帯に連絡が入った。 以前よりアポイントを取ってはいたが、なかなかスケジュールが合わず、 持ち越しになっていた人物が、仕事が一段落ついたので暇になったとのこと。 それで、日に日に形が変わり人がごった返す横浜駅西口で待ち合わせているのである。 人にぶつかって睨まれたりしながら、時間にルーズなその人物をイライラしながら待っていると 「おーい」と暢気な声に顔を上げる。 この人物こそ、本日の主役である、森林3氏である。 挨拶もそこそこに我々は地下への階段を下った。 場所は、某有名電器店の地下にある蕎麦屋である。 ―――この店にはよく? 森林3「ええ、たまに。」 氏はおもむろに天せいろを注文する。
森林3「ここの天ざる、いや、天せいろは美味しいんですよ。 ―――天ざると天せいろの違いとか?
森林3「それも語り始めると長くはなりますが、そうではありません。 ―――別であるべき、と?
森林3「いえ、どっちも好きなんです。二種類あるって認識を持つってことは、
―――いきなりそんな深い話を…
森林3「そうかもしれませんが、それ言い出したら、 ―――店によっては別々に出す所もあるかと。
森林3「原理主義的な話は嫌ですが、そもそも、天ぷらそばは、そばに天ぷらを乗っけたら
―――まあ、元々こんな話を聞きたいわけじゃないですしね。 森林3「はい。「竜と戯る星」の連載が終了しました。」 ―――それはお疲れ様。今作初期からずっとでしたよね。
森林3「そうですね。途中から森林6君とか入ったんで楽になるかと思ったら、 ―――最後の方とかアップシーンでも森林3さんばっかだったじゃないですか。
森林3「クオリティは6君の方が高いんですがね。やっぱり使いどころ難しかったみたいです。」 森林3「や、そんなこと無いですって。多分現場で一番暇そうに見えたんじゃないですか?」 ―――「読者としては忙しそうでしたけどね。」 森林3「それって使い回してるって言いたいだけじゃん(笑)」
―――正直言うとね(笑)
森林3「悪くないことだと思いますよ。実際、森林背景って手間がかかるし、 ―――使い回しに際して色々工夫はなされてたみたいですね。
森林3「そうですね。明度やトーンを変えるのはもちろん、ブラシを加えたり、一部だけぼやかしたり… ―――森林火災のシーン2回やった理由って… 森林3「まあ、作画が楽になるならそれに越したことはないでしょう。」
―――ということにしておきます。
森林3「出番が多いというのは悪くない気分ですね。
―――まあ、ノせられてたんでしょうね(笑)
森林3「んー皆の心の中まではわからないけど、雰囲気は良かった現場ですよ。 ―――最近の漫画界では、写真の利用とかについて色々言われたりしてますが…
森林3「さっきも言ったけど、それで作画が楽になってクオリティも維持できるんなら
と、話が熱くなってきたところで天せいろが運ばれてきた。 森林3「あなたは海老は最初に食べます?最後に食べます?」 ―――最初かなあ。あ、一口目はそばだけど。 森林3「僕もそうなんですが、本当のところ、海老で始まり、海老で締めたいんですよね。」 ―――じゃあ、最初に海老を半分食べて、最後にもう半分食べればいいんじゃ?
森林3「それじゃあ、満足しないんですよ。ここの天せいろがいいのは、 ―――なるほど、大変欲張りメニューだ。 森林3「そうでしょう。」
そして、おもむろに彼は海老を口に運ぶ。
森林3「贅沢を言えば、つゆが兼用なら、そばつゆのなかに天かすが残って、それがいいアクセントに ―――それが嫌だって人もいるだろうけどね。
好みは千差万別である。
そば湯は、非常に優れたスープと言える。濃厚でありながら、さっぱりとし、
森林3「天ざるって、そばのためになのか、天ぷらのためになのか、はたまた、そば湯のためになのか、 ―――全部、じゃない? 森林3「かもしれませんね(笑)」
―――なんか、今日はほとんど食レポみたいなインタビューになっちゃいましたけど、 森林3「ごちそうさまって、そっち持ちでしょう?」 ―――そうですけど、なんかタメになったような。 森林3「ならないような(笑)」
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そばを待ちながら趣味の陶芸について ろくろを回す動作を交えながら熱く語る 森林3氏。 趣旨にそぐわないためその部分を割愛せざるを 得なかったこと、ご容赦願いたい。 |
森林3
森林6
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