私の鋭く伸びた爪が、彼女の胸元を引っ掻く。

露わになった、わずかにふくらむ白い肌が引き裂かれ、血が滴る。

「あぁー!!」彼女が声を上げ、胸を隠し、うずくまった。

私も、彼女の先程の小爆発を受け、鬼の影響で、身体は無事なものの、服がボロボロではあった。

だが、何も隠さず立ち、彼女を見降ろす。

「他に誰が見てるわけでも無いよ、さあ、立ちなさい」

「!!」彼女は、恐ろしいものを見る様に私を見上げた。

まあ、今の私が、随分人間離れした姿であるのは承知だ。

「化け物…」

「ふん…あなたの力も、充分化け物だよ」

「化け物は! 私の魔法で! やっつける!」

彼女が、突然大きな声を張り上げたかと思うと、霊力の集中を始めた。

霊力を集中させている場所… 彼女の体内…!

「な、何を… 馬鹿なことは…」

「やっつける! やっつけるんだから!」

「何か、助ける方法は…」

と、考えようとした時、突然私の手が、彼女を殴りつける。

霊力の集中が止まった。

彼女の顔を覗き込むと、息はしている。気絶をしているだけだ。

鬼の本能なのだろうか? 何も考えずとも、合理的な判断で、私も彼女も無事だった。

すると、体中の力がすうっと抜けていく。私の頭に生えていた角も消えた。

「一仕事終えて、引っ込んだんだね…」心の中で鬼に「ありがとう」とつぶやく。

だけど、彼女の能力を消せない限り、意味が無い…

どうしよう… そう思った時

「済んだか」  

 

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