鬼の力を得た私は、彼女の姿を視界に捉えるやいなや、走り出した。 相手の能力の性質上、うかつに近づいたらまずいと思っても、止まらない。 彼女が、霊力を集中する。「まずいか?」そう思ったが、どうやら、杞憂だったらしい。 彼女の能力は、霊力を集中させて、それを爆発させるもの。 自分に被害が及ばない位置から、霊力をじっくり集中させ、強力な爆発を起こすのが理想形ならば、 至近距離で走り寄ってくる相手には、あまり有効では無い。 だが、彼女は次の手を考える。私の周囲の霊力が、急に「ポンッ」と弾ける様な爆発を起こす。 なるほど、そう来たか。爆発が小規模な程、集中する霊力は少なくて済む。 だけど、この程度の爆発じゃ、鬼の力を発現させた私には通用しない。 それを悟った彼女は、集中する霊力を、私の通るであろう地点に集中し始める。 すると、私の脚が、軌道を変え始めた。どこに霊力を集中させてるかわかっているのに、 そこにわざわざ飛び込む必要は無い。 ともかく、これで、事実上、彼女の「爆発技」は封じたことになる。 彼女の懐に達した私は、彼女に飛びかかる。彼女に他にどんな能力が与えられたのか、わかっていないのに。
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