続いて、寄ってもらったのが、街を見渡せる小高い丘。 車を降りて、辺りを見回し、人がいないのを確認する。 「刑事さん、人が来ないか、見ていてもらえます?」 「いいですけど、何を?」 「すみません…部外非でして…」 「…わかりました。じゃあ、見てきます」 刑事さんが居なくなるのを確認すると、上から何やら降りてきた。 「ふう、あいつら、やっといなくなった」 「…」 「何だよ、その目は」 「私がこれからすること、知ってて降りてきた?」 「何だよ、俺はカラスだ、人間の女になんぞ…」 「いいから、どっか行ってなさい!」 「のわー!」 スケベなカラスを追い払い、誰の目も無くなったのを確認する。 本来なら、人払いの結界を張ってからやるんだけど、事を急ぐから… 私は、白衣と襦袢を脱ぎ、上半身を露わにした。 目を閉じ、集中する。この街の全てに感覚を行きわたらせる。 強い霊力を蓄えている者がいれば、これで場所が特定できる。 前田の能力ともなれば、それこそ特別だ。 だけど、前田自身は、恐らく巧妙に霊力を隠しているはずだ。 あるいは、普段は一切の霊力を蓄えていないのかもしれない。 まあ、能力を与えられた者はほとんどがシロウトだから、 霊力を使う様なことが無い時も、取り込み続けている可能性が高い。 「見つけた」 「おお、それは、良かったな」 クァ助の頭に肘を喰らわせる。 「ってぇなあ! それより、それどころじゃねえ!」 「何?」 「感じないか、この殺気を!」 「!」 街の霊力に集中するあまり、身近な殺気に気がつかなかった! 何て失態!
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