案の定、電話はいつもの刑事さん達で、その後、二人してやってきた。

「毎度お世話になります」こちらが頭を下げると、向こうも照れながら頭を下げる。

何気に彼等の持ってくるお土産はおいしいので、紙袋の中身が気になるところだが、

まあ、今は彼等の話を聞くのに集中する。

「ニュースで見たばかりなので、まさかとは思いますが、中学校爆発事件のことで?」

まあ、聞かずともわかるが。

「ええ、実は、そうなんです」

「ガス爆発との見方が大勢の様ですが…」

「実は、そこら辺の見解も、我々の間で割れていて…」

「不自然な点も多いのでしょ?」

「そうなんです。それに、一連の前田がらみの事件を見ていると…」

隣の、紺色スーツの刑事が思わず「先輩…」と止めるが、「いや、いい」と、深緑スーツの刑事は続ける。

「あなたには、隠し事も何も、多分通用せんのでしょうな。私は、今回の事も、前田がらみと見ています」

「根拠は…特に無さげですね…」

「今時、そんな時代じゃ無いとは、お若い方は思うんでしょうが…長年の勘ってやつで…」

「…前田は、綿密な捜査とか、科学的な検証とかで、辿りつける様な相手じゃないと思います。

あなたが、前田に辿りつけたのならば、それは、あなたの刑事としての勘が、

非常に優れたものであることの証明であると、私は思いますよ」

「お嬢さんは、お口が達者で、いつもいつも、驚かされますな」

「口で人を惑わすのも私の商売のうちですから」

謙遜の中に自虐的な本音を込めるのも得意になってきた。あまり、うれしくない特技だ。

「それでは、今回の依頼は、中学校爆発事件の犯人の捜査及び確保ということでよろしいですね?」

「はい…できれば…」

「前田が現れる可能性は、非常に低いですよ…?」

「はい…そうだとは、思いますが…」

「出来る限りの善処はします」  

 

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