◆ 「いいのか、前田に連れてかれちまうぞ」 クァ助はそう言う。 「大丈夫、霊的マーキングはしてあるよ。 万一見失っても、前田の能力を得た者は、強い霊力を発するから、 すぐ見つけられる」 「あいつが、お前の言うことを聞かない前提だったのか? もし聞いてたらどうする気だった?」 「被害を未然に防げたことになるじゃん」 「はあ…?」 「どっちに転んでも結果オーライ、うん、我ながら完璧」 「しっかりしてそうで、やっぱり子供か?」 「何? お肉になりたいの?」 「カラスはまずいぞ… っというか、能力を与えられた後も、あいつが前田と行動を共にするとは限らんぞ」 「それならそれで、あの人を叩き潰す そんなことが何回か続けば、前田も私達を無視できない」 「そうかいそうかい、それは気長な作戦だな。 それまで、どうするんだ? いつまでビジネスホテルで暮らすつもりだ?」 「別にその点については、お金はいつでも下ろせるし」 「な… いくら宮田家が良家とは言え… いいのか? こんな小娘に金を自由に使わせて…」 「いいじゃん、別に豪華なホテルに泊まろうってわけじゃないんだから」 「それはそうとな、ホテルに戻る度、いちいち、人の姿になるのは面倒だし、無駄に霊力を使うんだ」 「しょうがないじゃん、小学生の女の子が一人で部屋を借りるなんて、怪しいでしょ?」 「だから、早く解決するための方法をだな…」 「はいはい、わかってますよ、そっちもアイデアあったら早く言ってよね」 私がそう言うと、クァ助は不機嫌そうにそっぽを向いた。 カラスは表情が無いけど、気分がいちいち行動に現れてかわいいな、とふと思った。
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