◆ 堂座は、いつも、遠くを見ている。 近くで何か起こったとしても、あまり動じず、自分に関心が無ければ、さっさと去っていく。 私は、常に、周囲の人間が敵である可能性を考え、行動する様に教えられてきた。 だから、近くで何かあった時は、即座に動き、自分に危害が加わる可能性があるかどうかを瞬時に判断し、 行動するようにしてきた。 同じ、闘いの方法を極めた者同士なのに、堂座は悠然と、私は慌ただしく、事態に対処する。 そのことを、堂座に話したことがある。そしたら、 「どちらが優れている、ということでもない。目前に目を奪われては大義を失うが、 大義を夢見ても、目前の困難に飲み込まれるのみだ。 俺もお前も変わらん。近くで何かが起こった時には、俺だって、判断や対処は、その瞬間に始まるのだ。 ただ、俺とお前では、経験の量が違う。その差が行動の差になって現れているだけだ。 気にする程のことでもない」だって。 こういう言葉からも何か、余裕を感じる。 やっぱり、堂座はすごいなあ… 「…ぼんやりしているなよ、目標が定まった」 「ごめんごめん、見つかったんだ」 「お前は、普通の少女と変わらんな」 「普通の少女だもん、堂座の前では、だけど」 「…」 冗談を言っても、顔色一つ変えない…「むー…」 「無駄話はやめろ、近くだ、接触するぞ」 「うん!」
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