そこには、東子さんが立っていた。

なぜ? 部屋に近づいてきた気配なんて全く感じなかった。

「赤」も同様、唖然とした顔をしている。

「どこから…」私は聞く、と同時に、思考を探る。

だけど、何故か思考を探れない。まるで、あの時の路地裏の男みたい…

まさか…人間じゃ

「別に、私は人間だよ」

「!?」私の思考を!?

「心理学の勉強の方から、ちょっと、変な方向にずれちゃってね…

人の心理が、この世界に直接及ぼす影響力ってのを研究しだしちゃってさ

実は、日本のある組織からスカウトされちゃって…あ、騙す気は無かったよ。

ちゃんと、ちえの自殺の真相を探る目的のための手段なんだからね」

「じゃあ、うち専属のカウンセラーってのは…」

「それは本当だよ、っていうか、メインはこっち

あんな怪しげな組織に長居する気は無いんだ」

「何をごちゃごちゃと…」「赤」の人が混乱を隠しきれず、わめく。

「おっと、ごめんごめん、あんたいたの忘れてた。

でも、困るんだよねえ、神聖な宮田家で、こんな暴力沙汰起こされちゃあさ…

それも、宮田家に代々仕える、私の目前で…」

「ナメるなぁ!  …  !?   !!!???」

「赤」の人が急に頭を抱え始めた。

「思考への介入なんて、訓練すれば、どんな奴でも身につけられる技術だ。

もっとも、やった本人もやられた本人も、共にそれが自覚できる様になる為には

結構苦労するんだがね」

つまり、「赤」の人の思考に介入し、無思考状態を発動できなくした、ということか。

ちょっと、怖いなあ…

「今日のところは帰りな、次会う時に、またやり合うようなことになれば、躊躇しないよ」

「クソったれ…」

捨て台詞を吐いて、「赤」の人は逃げる様に去って行った。  

 

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