ナイフのかすめた部分が切れ、肌が見える。 白衣と襦袢は切れたが、肌には届いていない様だ。 私は、白衣と襦袢を脱ぎ、上半身を露わにした。 「殺し屋相手に肌を見せるか、覚悟は決まったみたいだな」 「赤」の思考が一瞬現れた。私の行動に多少驚いたみたい。 「赤」の顔が再び、怒りに染まり、そして無表情に… その瞬間私は、着ていた白衣と襦袢を、「赤」の顔に投げつけた。 「!!」彼女は、急速に思考を取り戻し、事態の把握を試みた。 そして、瞬時に私が背後にいることを把握し、振り返る。 彼女の顔が再び… 私は彼女の思考に集中した。 彼女が、私のことだけを考える様になる。私を殺すことそれだけになる。 その瞬間を狙って彼女の頬をひっぱたいた。 「!? がっ…」彼女は再び思考を元に戻し、状況判断に戻る。 狙いは当った。彼女は、一旦、目標を設定したら、無思考状態でそれを遂行する能力がある。 ただし、それは、相手を見失ったり、予想外の状況に陥った時、状況判断の為、一旦解除される。 そして、思考可能状態から、目標設定状態まで、わずかなタイムラグがある。 一応、思考可能状態でもそれなりの戦闘能力はありそうだけど、 その状態では人を殺せないのか知らないが、どうしても、無思考状態になりたがる。 ものを考えなくてもいい時間、確かにそんな時間を私も持ちたいなあと、余計なことをついつい考える。 「待ちな、二人とも」
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