宮田家の客間に、二人の男が招かれた。

神妙な面持ちで深緑のスーツを着た男が話す。

「本日は急な訪問で、失礼します。これは、つまらないものですが…」

と、白地に赤い模様の描かれた包装紙に包まれた何やらを老婆に差しだした。

「まだ依頼を聞いてはおりませんのに、この様な物を受け取るわけには参りません。」

老婆はこれを突っぱねると、男達から要件を引き出そうとする。

「実は…」紺色のスーツを着た男が、スーツの内ポケットから何やら取り出した。

「警察の方ですか…?」

取り出されたのは警察手帳。そこにはその男の顔写真、階級、名前が書かれている。

「我々の様な者がここを訪れるのは、おかしいですかね…?」

「いえいえ、珍しいことではございませんよ。特に、一部の部署の方には大変お世話になっております。」

多少空気が和んだところで、深緑の男が話し出す。

「実は、今追ってるヤマが、面倒なことになってまして…

情報統制がかかってるので、まだ報道はされてないんですが、

先日、○○中学で、殺人がありましてね…その犯人が、実はそこの生徒なんですよ。

ですが、その生徒、逃亡後の足取りが全く掴めませんで…」

「それで、私どもに…?」

「お恥ずかしい話で…」

「失礼ですが、あなた方は一般的な捜査課の方ですよね…?

私どものことをどこで…?」

男達は顔を見合わせ、切り出す。

「我々は、密命を受けております。どうか、これ以上の詮索は…」

「…わかりました…何か事情がおありなのは察します。

ですが、あなた方が、正しく情報を提示して下さらぬ以上、

こちらの調査の精度もそれなりのものになるということをご理解いただきたいのです。」

「それはもちろん…! 我々も、権限の及ぶ範囲で、できる限りのことは致します。

至らぬ点は、平にご容赦を…」

男達が険しい顔で頭を垂れると、老婆はくすりと笑い、

「困りましたね、お客様にその様な面倒をお掛けしてしまうとは…

お任せ下さいな。こちらも全力を尽くしますから。」

老婆はすっくと立ち上がり、祭殿へ向かった。

 

 

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