◆ 晴れた休日、特に用の無い私は、部屋の窓でクァ助と話していた。 クァ助は、自分はたたらと呼ばれる人達に仕えていたカラスだ、という。 たたらの人達は、かつて、人類に色々な技術を伝え、色々な災いから人類を守ってきたらしい。 実を言うと、宮田家は、たたらの血を引いた家系だと、おばあから聞いたことがある。 他にも、世界中には、たたらと縁を持つ家系がたくさんあるんだけど、そのうちのほとんどが、 たたらとの関係を忘れちゃってるんだって。 それから、クァ助の目的の話。 クァ助のご主人様は、たたらの中でも高貴な家柄で、たたらと同様、人類の歴史に関わりの深い 鬼と呼ばれる種族の研究を行っていたんだけど、 ある日、鬼神と呼ばれる存在についてあることがわかりそうになった時、 鬼神の使いと呼ばれる者に襲われて、亡くなったらしい。 だから、クァ助は、鬼神や鬼神の使いに対して、恨みを抱いている。 私を食べて、力を得ようとしたのも、鬼神に対する力をつけるため。 だけど、生きる意志の乏しい私を食べても大した力は得られない… だから、私は、クァ助に食べてもらえるだけの価値を持った霊能者になりたい。 我ながら変なことを考えているな、と思っていると、おばあが玄関を出ていくのが見えた。 「何だろう?お客さんかな?」 話に夢中でチャイム音に気付かなかったらしい。 しばらくすると、表門の方から、スーツを着た人が二人、おばあに連れられて歩いてきた。 「仕事かな、準備しよう。」 私は着替えて、祭殿に向かった。
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