休み時間に、ボーっとしていると、女子が二人、俺の席に走り寄ってくる。

他人から見たらうらやましいことこの上ない風景だろう。

だが、今の俺には、嫌な予感しかしない。

「丸子君! 聞いて!」

「…何だよ…?」

「何?その態度」

「お前らが揃って来るってことは、ろくなことじゃねえってことだろうが」

「失礼しちゃうな。いいから聞いて。

 世界を救おう!」

「!? 何? 今、何て言った?」

「世界を救うんだよ、世界を」

「お前、頭、大丈夫か? どっか打ってないか?」

「あーもう… 面倒くさいなあ…」

すると、宮田は、今の世界における、戦争内紛、その他混乱の状況をつらつらと語り始める。

先進国は、戦場になっていないから、その状況は知られていないが、

貧困地域では、常に戦乱の火種がくすぶっている状態であり、

武器商人や、その他、利権が絡む各種組織が、次の戦場を嗅ぎまわっている状況であり、

今や、地球上は、大戦乱状態の一歩手前と言えるらしい。

で、そんな地域を、メズサや頂の力で、先回りして平定して回ることで、

世界的な危機状況を脱するというのが、宮田と前田の考えらしい。

「壮大すぎて、何が何やら… できるのかよ、そんなこと…」

「やってみなけりゃわからないじゃん」

「そりゃそうだけど…」

「私には、それをやれるだけの力は与えられている。

 ならば、やってみなきゃ、ね」

「俺達だけでどうにかなるのか?」

「私は、英雄を生み出す力があるんだよ。

 有志を募って、英雄的な力を与えれば、それなりのことはしてくれるはず。

 そして、その中には、本当の英雄の資格を持った者もいるはず」

「…まあ、俺も、お前に見出された英雄だし…

 っつーか、本当に英雄になるためには、英雄らしいことしなきゃなんねえんだよな?

 鬼神倒したっつーったって、世間に認知されなきゃしょうがねえし…

 あー、わかったよ…協力するよ…」

「ありがとう! 丸子君ならそう言ってくれると思った!」

とても屈託のない、可愛い笑顔を見せる。はっきり言って、反則だ。

「もう、どこまでもついてきますよ… 地獄の底でもなんでも…」  

 

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