◆ 休み時間に、ボーっとしていると、女子が二人、俺の席に走り寄ってくる。 他人から見たらうらやましいことこの上ない風景だろう。 だが、今の俺には、嫌な予感しかしない。 「丸子君! 聞いて!」 「…何だよ…?」 「何?その態度」 「お前らが揃って来るってことは、ろくなことじゃねえってことだろうが」 「失礼しちゃうな。いいから聞いて。 世界を救おう!」 「!? 何? 今、何て言った?」 「世界を救うんだよ、世界を」 「お前、頭、大丈夫か? どっか打ってないか?」 「あーもう… 面倒くさいなあ…」 すると、宮田は、今の世界における、戦争内紛、その他混乱の状況をつらつらと語り始める。 先進国は、戦場になっていないから、その状況は知られていないが、 貧困地域では、常に戦乱の火種がくすぶっている状態であり、 武器商人や、その他、利権が絡む各種組織が、次の戦場を嗅ぎまわっている状況であり、 今や、地球上は、大戦乱状態の一歩手前と言えるらしい。 で、そんな地域を、メズサや頂の力で、先回りして平定して回ることで、 世界的な危機状況を脱するというのが、宮田と前田の考えらしい。 「壮大すぎて、何が何やら… できるのかよ、そんなこと…」 「やってみなけりゃわからないじゃん」 「そりゃそうだけど…」 「私には、それをやれるだけの力は与えられている。 ならば、やってみなきゃ、ね」 「俺達だけでどうにかなるのか?」 「私は、英雄を生み出す力があるんだよ。 有志を募って、英雄的な力を与えれば、それなりのことはしてくれるはず。 そして、その中には、本当の英雄の資格を持った者もいるはず」 「…まあ、俺も、お前に見出された英雄だし… っつーか、本当に英雄になるためには、英雄らしいことしなきゃなんねえんだよな? 鬼神倒したっつーったって、世間に認知されなきゃしょうがねえし… あー、わかったよ…協力するよ…」 「ありがとう! 丸子君ならそう言ってくれると思った!」 とても屈託のない、可愛い笑顔を見せる。はっきり言って、反則だ。 「もう、どこまでもついてきますよ… 地獄の底でもなんでも…」
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