◆ あの夜以来、世界規模で、争い事が減ったという。 各地の紛争地域で、休戦が次々と宣言され、 それ以外の、内情不安定とされる地域でも、民衆は落ち着きを見せているという。 だが、それでも、少しずつ、元通りになっていく。 人々は、思い出したように銃を手に取り、殺し合いを始める。 人々が殺し合うのは、恨みや憎しみばかりが理由ではない。 生きるために、殺さねばならない、そういう人のなんと多いことか。 人はまだ、未熟なのだ。 そうしなければ、何もできない、そうする前提で、動く世の中がある。 そして、その犠牲の上に、全ての富める者が存在する。 この地球上で、生命の不安もなく生きる全ての人間が、その他の地域における人の生き死にに、 何らかの形で関わっている。 つまり、私達は、日々、間接的な殺人を何食わぬ顔で行っている。 私達の笑顔の裏に、どれだけの死に顔が隠れているのだろう。 そして、それを忘れなければ、私達も生きてはいけない。 何が正しい世の中なのだろう? こんな世界に生きることの何を誇れる? そんなのは食物連鎖の様なもので、気にすることではないと、したり顔で平然と言ってのければいいのか? 私は、この手に与えられた使命を思い出した。 私は、この手で英雄を生み出すことができる。 そして、どうやら、私はこの世界の生命の頂点に立つ者、つまり、それが頂の巫女、ということらしい。 ならば、この私にできることは多そうだ。 この世界は争いで溢れている。 第三次大戦なんてものが起きようが起こるまいが、そんなのは、世界中の争いが形を変えたものに過ぎない。 その争いの連鎖を止めるために、このメズサとしての、そして頂の巫女としての全てを賭けようではないか。
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