光にのまれた私は、気がつくと、光溢れる世界の中に漂っていた。

「何故だ…? 何故、人間は私を拒否したのだ…?

 いや、私も、私自身を拒否していた…

 しかし、こんなことが…」

そう、自問自答していると、目の前に、光の山が立ち昇り、

そして、その頂点に、人間の女の姿があった。

「貴様… 頂か…?」

「いかにも、私は、神の代行者にして、この物質界の頂点に立つ生命体なり」

「何故だ! 何故私をこの様な…」

「何故? 神がそう望んだからだ」

「神が望むなど… 奴らは、この世界には基本的に不干渉のはずだ!」

「だから、この世界に代行者を置いている」

「それが干渉というのだ! 貴様、人間の分際で… この鬼神を出しぬくことなどできると思うなよ!」

「人間の分際ときたか… そうか、それが貴様の認識か…

 だまらっしゃい! ここは、我等物質生命の世界なり!

 貴様等の様な、肉体を持てぬ生命に与えられる自由などありはしない!

 貴様等は、定められた居場所で、眠っていればよいのだ!」

「貴様こそ、我等と何ら変わらぬ神と、対話しているではないか!」

「神がこの世界に不干渉と言ったのは貴様であろう」

「ならば、代行者など立てるべきではないとも言ったはずだ!」

「貴様は勘違いをしているな」

「何だと? 私が何を勘違いしているというのだ?」

「神は、この世界に干渉する気は無い。そして、我々、代行者も同様だ。

 我々が行うのは、この世界に干渉しようとする異世界の要素を排除すること。

 この世界の独立性を何より願っているのは、神なのだ」

「何だと!? ならば、何故、我々を排除する?

 この世界を独立的に運営するためには、代行者を立てるのではなく、

 その世界に足を留める精神的生命だって必要なはずだ」

「その理由に託けて、神を欺こうとしたのは誰か?」

「誤解だ! 我々は、真に、神性を持った魂を生み出そうとしていたのだ!」

「…何を言っているのかわからんな… 獣性を持った魂が、真の神性など持てるはずがないのだ」

「ならば、何故、神はこの世界を…」

「貴様等、鬼の様な、獣性を持った魂を封じ込めるためだ」

「何故だ!? 獣性とは、罪なのか?」

「神性と獣性は相反するものであり、それ故、遠ざけたかった、それだけだろう」

「それだけの理由で…?」

「そうだ、それだけだ。何もかもが、それだけなのだ」

「そんなふざけた真理があるか!?」

「真理とはいつでも、ふざけたもの。

 どんな世界であろうと、そこに公正さが存在すると思うのは、愚行以外の何物でもない。

 まさに、本能の源だな、人間の過ちの原因をそのまま持ち合わせているとは」

「うるさい! 公正さを求めて何が悪いのだ!」

「確かに、この世界に、公正であってほしい、と願うのはいいがな」

「我々は、この世界を公正なものとして創ったのだ!

 それを、神が、余計な横槍を入れるから…」

「この世界は、貴様等の逃げ場として創られたわけではない!

 所詮は、神を恐れ、この世界を隠れ蓑としただけの貴様らに与えられる公正さなどあるものか」

「その言葉、そのまま貴様に返ることも忘れるな、貴様も人間である以上、鬼を持っているのだ」

「そうだ、だから、私は、公正さを求めない。

 因果とは、なるべくしてなる流れ。それを断ち切るも、またひとつの因果なり。

 それは、お前が間違っていたからではない。正しいからでもない。

 これが私の選択だから、それ以上でも、それ以下でもない」

「何をするつもりだ…?」

「こうするのだ」  

 

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