◆ 任務が終了し、現場から戻る時、それを見た。 心の底から湧いてくる、敵対的な衝動、おそらく、鬼が本格的に動き出す。 「また、忙しくなりそうじゃのう」 そうつぶやくと、どこからともなく、カラスが飛んできた。 くぁ助が、この事態を見て、知らせにきたのであろう。 「わざわざ知らせにこんでも、見ればわかることじゃ」 「やかましい、居ても立ってもいられねえんだ。 鬼神が動き出すんだぞ、鬼神が!」 「…で、どうするつもりじゃ?」 「お前は、鬼神を討てるか?」 「…無理に決まっておろう」 「…これは好機でもあるんだぞ! クソッタレ… 何が起ころうとも、見ているだけしかできんのか…」 「ふん、お前の目は節穴か?」 「んだと!?」 「鬼神を討つ可能性、たたらではなく、もっと別の者がおるであろう?」 「誰だ?」 「わからぬのか? 薄情な奴じゃ、お前を救った恩を忘れるとは…」 「編がやるってのか?」 「あいつは、頂なのであろう?」 「だが、まだまだ未熟だ。それに、頂とは言っても所詮は人間」 「ここは人間の住まうための世界。たたらだって、それに応じて姿を変えてきた。 変化を労せず、この世界に存在しようなどという不届きな奴らに、人間が負ける道理があるのか?」 「それは詭弁だ。お前は、鬼の恐ろしさを知らん様だ」 「知っていてたまるか、本来、伝説上の存在なのじゃぞ」 「だが、もう、伝説ではないぞ」 「…少なくとも、おれ等にできることは、見ていることだけじゃ。 とにかく、何がおこるのか、この目にしっかり焼き付けんとのう」 「…ああ」
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