任務が終了し、現場から戻る時、それを見た。

心の底から湧いてくる、敵対的な衝動、おそらく、鬼が本格的に動き出す。

「また、忙しくなりそうじゃのう」

そうつぶやくと、どこからともなく、カラスが飛んできた。

くぁ助が、この事態を見て、知らせにきたのであろう。

「わざわざ知らせにこんでも、見ればわかることじゃ」

「やかましい、居ても立ってもいられねえんだ。

 鬼神が動き出すんだぞ、鬼神が!」

「…で、どうするつもりじゃ?」

「お前は、鬼神を討てるか?」

「…無理に決まっておろう」

「…これは好機でもあるんだぞ! クソッタレ… 何が起ころうとも、見ているだけしかできんのか…」

「ふん、お前の目は節穴か?」

「んだと!?」

「鬼神を討つ可能性、たたらではなく、もっと別の者がおるであろう?」

「誰だ?」

「わからぬのか? 薄情な奴じゃ、お前を救った恩を忘れるとは…」

「編がやるってのか?」

「あいつは、頂なのであろう?」

「だが、まだまだ未熟だ。それに、頂とは言っても所詮は人間」

「ここは人間の住まうための世界。たたらだって、それに応じて姿を変えてきた。

 変化を労せず、この世界に存在しようなどという不届きな奴らに、人間が負ける道理があるのか?」

「それは詭弁だ。お前は、鬼の恐ろしさを知らん様だ」

「知っていてたまるか、本来、伝説上の存在なのじゃぞ」

「だが、もう、伝説ではないぞ」

「…少なくとも、おれ等にできることは、見ていることだけじゃ。

 とにかく、何がおこるのか、この目にしっかり焼き付けんとのう」

「…ああ」  

 

5_____7

   

 

 

ブラウザを閉じてください