しばらくすると、遠くから、黒い塊の様なものが近づいてきた。

人ではなさそうだが、歩いている様な動きではある。

だいぶ近づいてくると、それが大きな動物であることがわかった。

クマだ。

「!」丸子君は、驚きの表情を浮かべている。

マオさんのところで、実際にクマと戦ったと聞いたが、

その時のことを思い出したのだろうか?

そして、クマは、私達の目の前に来て立ち上がった。

それは、まるで立ちはだかる壁だ。

その巨大さに息を呑むが、丸子君の様子はさらに深刻だ。

「これとやれってのかよ…」

すると、少女は

「クマより強い相手とだって戦うって約束じゃなかった?

 それとも、今回も、冗談だと思ってたって言うわけ?」

「…わかってる… 今度は、逃げねえよ」

私は思わず丸子君に向かって走り出しそうになった。

その瞬間、少女は私の前に立ちふさがる。

「ここでは、彼の意思が最優先。

 あなたは黙って見ていなさい」

「丸子君が… 丸子君が…!」

すると、少女は振り向いて、丸子君に叫んだ。

「どうでもいいけど、いつまで素っ裸で丸腰のつもり?

 ナメてんの?」

「ちょっと待て! 武器があるんならあるって言えよ!」

「武器なんて持ってないよ」

「何だと!?」

「あなたには、イデアを改変する能力があるはず」

「それって、紙とかをでっぱらせるあれか?」

「そう。その力で武器だって創りだせる」

「そんな大げさなことやったことねえよ!」

そこで私は思わず叫んだ。

「できる! 丸子君なら! 早くしないと!」

次の瞬間、丸子君に向かってクマが走りだした。

「ちょ! まっ…」  

 

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