宮田をリビングに通し、お茶を出す。

直接部屋に招き入れずにこうするのは、当然、健康な男子の部屋には、

女性の目に触れるのは少々まずいものがあり、

それを、少々目の触れにくい場所に隠すという作業があるからである。

とは言え、長らく生活圏に女性がいないと、

それはそれは、そういう物品が大量に散乱していて、どこから手をつけていいのやら、と言った感じである。

とりあえず、オブジェや芸術品と言えばごまかしがききそうなものは、棚に陳列しておこう。

直接的な表現物は徹底的に隠す。

方針が決まればあとは早い。

「よお、待ってたか?」

「スケベコレクションは片付いた?」

「は? 何のことだ?」

「自分の部屋になかなか通してくれないってことはそういうことでしょ?」

「お前なあ… それは偏見ってもんだぞ。まあ、少々散らかっていたのは確かだ。

 綺麗になったとは言い難いけど、まあ、ましになったから、入っていいぞ」

「じゃあ、お邪魔しまーす」

宮田を部屋に入れた。宮田を、部屋に、入れた。宮田を!

宮田は、俺の部屋をキョロキョロ見ている。

「あんましキョロキョロすんな」

「どこに何を隠したのかなあってね」

「何も隠してねえよ」

「でも、珍しいね、棚にああいうもの飾る人って」

「わかってるのかよ! っていうかどこで知った?」

「やっぱりそうなんだ、カマかけただけだよ」

「今まであえて黙ってたけど、お前、やっぱ小悪魔だ」

「ふっふっふ、バレていたか」

「んな馬鹿な話は散々したからもういいよ…

 教えてくれ、何が目的なんだ?」

「…丸子君が好きだから…それじゃあ駄目なの?」

「駄目じゃないし、嬉しいけど… お前は、そんな欲望に流される様な奴じゃねえだろ?」

「…わかった… 話すよ… 私のことを…全部話すよ」

「全部?」

「その上でわかってほしい、私にはあなたが必要なんだってこと。

 そして、私の好きなあなただからこそ、あなたにこれから起こること」

「それって、神とか、鬼神とか… そいつらに関係あることなのか?」

「私にもわからないことがある… だけど…わかる範囲のことは何でも話すよ。

 その上で決めてほしい。全てを受け入れる覚悟があるのなら、私を抱いて。

 もし、駄目なら… 前に言ったこととは矛盾しちゃうかもしれないけど…

 私のことは、きれいさっぱり忘れちゃっていいよ。私もあなたのことは忘れることにする。

 学校だって…」

俺は、宮田の口からそんな言葉が出ることに耐えきれず、おもわず抱き付いた。

「馬鹿なこと言ってんじゃねえ。言ってみろよ、お前の全て。

 俺が全部受け止めてやる。俺の答えはもう、決まってる」

本心なのか、かっこつけなのかは自分でもよくわからない。

だけど、言ってしまったからには、それを嘘にはしたくない。

そして、その決心が後悔に変わっていくのは言うまでもない。  

 

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