「今日、丸子くんの家に泊まりに行っていい?」

突然、宮田がそんなことを聞いてきた。

「な… なんだよ! 突然…!」

「お茶こぼしちゃって、汚いなあ…」

「弁当食べてる時に変な冗談言うな」

「冗談じゃなくて、本気だよ」

「待て、お前、わかってんのか? 男の家に女が…」

「おっしゃりたいことは、私もよくわかっております。そして、私もそのつもりです」

「待て、本気か? 俺達、まだ、高校生だぞ」

「それは重々承知です。 受験勉強やってる? もう三年生なんだよ、私達」

「話をすり替えるな。まだ若い俺達が、そんな…」

「そんな…何?」

「言わせるな! わかってんだろ?」

「セック…」

「言わんでいい!」

「だけど、もう、やっちゃってる人なんて結構いると思うよ」

「そんな奴はロクなもんじゃねえだろ」

「…普段どんな子想像してオナニーしてるの?」

「ぶっ… あー… またお茶が… お前なあ…」

「熟女?」

「なわけねえよ… まあ、そういうのが好きな奴もいるが、俺はそうじゃねえ」

「同い年の高校生アイドルとかは?」

「…たまに…」

「だけど、丸子君の考え方だと、セックスはかなり年取ってから、ってことになっちゃうよ?

 ほら、今、晩婚化とか進んでるし」

「それとこれとは話が違うだろ!」

「私はそこまで処女守る気は無いなあ。丸子君は童貞捨てたくないの?」

「そこらの男と一緒にすんな」

「まあ、人それぞれだとは思うけどね… だけど、私押し掛けるから、覚悟しといてね。

 手出したくないなら出さないでもいいけどね」

「それで間違い起こしたら、俺、最低じゃねえか」

「むしろ、間違い起こさせる気まんまんですが。まんまん」

「まんまん言うな!」

「何想像してんの? いやらしー」

「お前が変なこと言うからだろ!

 っていうか、何だよ、急に… 何かあったのか?」

「…」

「この前の夢と関係あることなのか?」

「…隠せないかあ… うん、多少関係あるよ」

「お前なあ… 大事なことは先に言えよ」

「…ごめん…だけど…」

「言ってみろよ」

「…ここじゃあ、ちょっとね… あとで… あ、予定とか無いよね? 大丈夫だよね?」

「それ、先に聞けよ… ねえよ、いいよ、帰って即やれるよ」

「うっわ、サイテー」

「うるせえ!」

午後の日差しが、生意気で無邪気な小悪魔を、優しく輝かせていた。  

 

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