夜、気付けば繁華街にいた。

理由はよくわからない…

ただ、逃げたかった…のかもしれない。

私はただ無力感でいっぱいだった。

ちえ姉さんを救えなかった…それだけじゃない。

実際、私のやってることって何だろう?

お客様の依頼に応えたところで、私の受けた言葉がそのままお客様に伝わるわけじゃない。

政界の要人って言われてる人の依頼で予言をしたこともあったけど

結局その人は、私の言葉通りには動かず、失脚してしまったし、

その通り動いたところで、あまり救える状態でも無かったみたいだし…

何だかんだ言って、人の運命はあまり大きく動かせるものではない。

なのに結果を求められ、人の命に関わることでさえ、当たり障りのないことしか言えず、

言ってる自分も、それが何を意味しているのかわからないことが多く、

ああもう、何もかもが嫌になった、と思ったら、

ここにいた。

どんな能力を持っていようと、自分自身を救えなければ、何も無い人と同じくらい弱い。

私は何に救いを求めることもできないんだ、と思ったら、もう逃げるしかなかったんだろうな…

と、そんなとこだろうと思う。ああ、自分で自分がわからない。

もう、どうにでもなれ、そんな気分でうつむいて歩いていると、肩に何かがぶつかった。

「いてえな! ん? お嬢ちゃん、子供は寝る時間だぞ?」

髪を金色に染めて、顔の色んなところにピアスをした男の人が、取り巻きを連れて

私の前に立ちふさがった。

「…ごめんなさい…」

「お嬢ちゃん、ごめんじゃすまないこともあるんだよ?」

「…どうすれば…お金なら…」

「ん〜…まあ、いいや、そうだ、俺達といいことしないかい?」

どうせ、最初からそれが目的だったのだ。

「…ここは人目が多いよ…」

「へっへ、何されるのかわかってるみてえじゃねえか、いいぜ、あっちの路地裏なら

誰も来ねえさ。」

私はこの人達に囲まれて、路地裏に入って行った。

小さい私が、大人の男性に囲まれたら、恐らく誰の目にも写らない。

金髪の人は、へっへ、と笑って私を見た。

 

 

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