「お帰りの時間が遅くなったようで」

私が門を開けて、ただいまと言うか言わないかのタイミングで

不意打ちを食らってしまった。

おばあは、宮田家の血統でありながら、依り代としての才能には恵まれなかった。

だけど、その分、私たち依り代の身辺の世話や相談に乗ってくれたりとか、

私たちにとっては無くてはならない存在になっている。

もちろん、私も大好き。

だから、そんな人に厳しく言われるのは余計辛いものがある。

だけど

「お客様からのおみやげがございます、早く手を洗ってきなさい。」

やっぱりおばあ、大好き。

「編(あみ)お嬢様、今朝からお顔が優れませんね。」

「…」

「ちえ様のことで?」

…図星、というか、わかって当然か…

ここで私が思いの丈でもぶつけていれば、また違った運命を辿ってたかもしれない。

だけど、私はただ一言「うん…」とつぶやくだけで、押し黙ってしまった。

私は、依り代としての重圧を感じ始めていた。

唯一の心の拠り所であるはずのおばあにも何も言えなければ、もう私に逃げ場は無かった。

そして運命の夜…

 

 

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