◆ 帰り道に通りかかる商店街。 繁華街の賑いは相変わらずだが、この商店街は、数年前からシャッターが閉じたままの店が多く、 人もまばらで、夕方ともなれば、悲しみの混じった寂しさが漂う。 ふと、私が小さな頃は本屋であった、レンガ風の外壁の建物の陰に、何かの気配を感じた。 覗きこんでみると、黒い影の様なコートが、更に細い路地に入って行くのが見えた。 気になったので、追ってみるが、動きが素早く、なかなか全貌が捕捉できない。 そして、その影が、ある路地に入った。しめた、そこは行き止まりだ。 そして、路地を覗き込む。誰もいない。狐につままれた気分で振り返ると、 黒ずくめで、癖っ毛の、私によく似た少女がいた。 何故か、心を読み取れない。 「! 誰? 私に何か用?」 「うふふっ、もうすぐだね」 「何? 何がもうすぐだっていうの?」 「うふふっ」 少女は笑って、路地の陰に隠れた。 追ってみたが、もう、姿は見当たらなかった。 あれは、一体… もうすぐって、どういうこと…?
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