◆ チャイムが鳴り、東子さんが教室に来て、号令がかかる。 「では、出席をとる。阿合」「はい!」「相川」「はい!」 そして、「丸子… 丸子君は、昨日から、家に帰っていない様で…」 クラス中がざわめく。そりゃそうだ、同じクラスから二人も行方不明者が出たとなっては… 学園全体でも行方不明者が多数出てるのに… 東子さんは、目撃情報の連絡先とか、怪しい人には注意するようにとか、連絡事項を告げて教室を出た。 すると、阿合さんが近づいてきた。 「宮田さん…つらいだろうけど…気を落とさないで…!」 そう言う阿合さんの心の中には恐怖が渦巻いている。 そりゃそうだ、消えているのは私と親しくしていた生徒だ。 それに、私にも原因があると考えているが、それも状況的に無理は無い。 阿合さんが小走りに立ち去り、何気なく後ろを向くと、椀楽君が、恐ろしいものを見る様な目をしている。 心を読むまでもない。彼も中学から同じクラスで、席も近く、 私の周りから人が消えるその様をありありと見ているのだから。 そして、この日を境に、私はクラスから孤立した。 また、小学校時代に戻ってしまった様な感覚だ。 いや、今までが幻想の様なものだったのかもしれない。
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