◆ その日、前日の混沌とした空とは違い、晴々としていた。 学校につき、昇降口に入ると、東子さんが立っていた。 「あ、東子さん、どうしたの?」 「おい、昨日から、丸子君が帰ってないらしいけど、何か知らないか?」 「え…知らないけど…」 「嘘つけ、お前の思考の痕跡は何も知らない様子じゃ無いぞ」 「…東子さんには嘘はつけないか… だけど、これは、あいつが選んだ道だから。 どうせ、私じゃ止められないし、あいつの好きな様にやらせるしかないよ」 私が、そう自信を持って言うと、東子さんが、私の目を拭った。 私は、自分で気がつかないうちに涙を流していた。 「女を泣かせるなんてね… まったく馬鹿な奴だよ。だけど、あんな奴に涙を流すお前も馬鹿だよ… まったく、文景も馬鹿だし…私も馬鹿だし… やってらんないよ… どうしたもんかね…」 「東子さん…」かける言葉が無い。 「とにかく、行方不明者がうちの学校からは出すぎなんだ。これ以上問題があれば、 世間にも隠しきれないし、思いもしない混乱だって起きかねない。 いざとなった時、私達がどうにかしなきゃならない事もある。いいかい、覚悟しときな」 「うん、わかった」 そして、東子さんは、職員室に、私は教室に向かって行った。
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