◆ 学校を出て、なんとなく、二人で歩く。 共に足取りは重い。 春の天気は安定せず、目まぐるしく、雲が動いていく。 私達は、雲の動きに乗せられるように、港へと向かった。 「…どうして、ここに?」 「…全てを知ってる人に、会いに行こう」 「…そんな奴が、いるのかよ? っていうか、お前も、何か知っているのか?」 「…あなたには、色んな事を隠してきた。だけど、あなたに覚悟があるのなら、知らなければならない」 「何故、今まで黙ってた?」 「あの子は…普通じゃないから。 私も、普通じゃないことがある。 あなたも、そうでしょ?」 「そんなの、誰だってそういう部分はあるだろ?」 「そういうレベルの話じゃない。 あなたは、あなたの持つ能力について、どれだけ知ってる?」 「…能力っても、物の表面にコブを作るだけだし、それ以上でも以下でもないだろ?」 「以前行方不明になった、中学時代の友達が同じ能力を持ってたのは知ってるよね?」 「ああ」 「正確には、物に穴を開ける能力。それと似た様な力を持った、学園生達が、連れ去られた。 そして、能力を引き出され、その命をもって、異世界への扉を開く実験が行われた」 「ちょ…待て…話が突飛過ぎて…何? 俺の力は、異世界への扉を開く能力だと?」 「使い方、力の引き出す量、それによって、何でもできる」 「でも、待てよ、それと能岡と… あいつも能力を…?」 「あの子も、その因子があったかもしれない。だけど、それとは別のことで、関係がある」 「よくわからねえよ…」 「私だって、よくわからない。だから、それを知るために、ある人に会いに行くの」 「全てを知ってる奴だっけ? どんな奴なんだ?」 「まあ、第一印象は驚くだろうね。じゃあ、切符二枚お願いね」 「お前、俺より金持ってるだろ? まあ、いいけど…」 私達はフェリーに乗り、島へ向かった。 白くぼやけた島は、一見、私達を拒んでいる様ではあったが、結界の気配は感じない。
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