◆ 翌日、学校では、「巨人騒動」の話題で持ちきりだった。 教室に入るなり、中学時代から同じクラスだった阿合さんが、 「見た?見た?」と言いながら飛びかかってきた。 真名ちゃんの行方不明騒動以来、あの時のクラスメイトは同じ悲しみを抱え、 何かと沈みがちであり、能岡さんの行方不明で、更に暗く沈みがちだったが、 阿合さんは、持ち前の明るさで、私達を励まし続けてきた。 彼女によって、今回の巨人騒動さえ、明るい話題に変わってしまった。 さて、それにひきかえ… 「おい、暗いぞ、パツ金少年」 「…っせえな…」 丸子君は相変わらずだ。 「昨日、見なかったの?」 「見たさ、だけど、それが何だよ? 能岡を探す手掛かりになるってのか?」 「そういうことじゃないけど… だけど、さあ… 能岡さんの事を忘れろとは言わないけど、 もう少し、明るく…」 「うるせえな… 少し黙っててくれ」 「丸子君…」 それ以来、丸子君と話をすることがほとんどなくなった。 そして、私達の二年間が終焉を迎え、三年目を迎えることになる。 私達の未来を方向づける、この時期に、私達は大きな傷を背負うことになった。 一体何が私達を待ち受けているのか。一体どんな道を私達は進むのか。 私達は何を手に取り、何を捨てていくのか。 神さえも知る術が無い未来を、私達は自分の脚で進んで行く。 滅びへの道を、希望を胸に。
7_____■ |
|
ブラウザを閉じてください |