翌日、学校では、「巨人騒動」の話題で持ちきりだった。

教室に入るなり、中学時代から同じクラスだった阿合さんが、

「見た?見た?」と言いながら飛びかかってきた。

真名ちゃんの行方不明騒動以来、あの時のクラスメイトは同じ悲しみを抱え、

何かと沈みがちであり、能岡さんの行方不明で、更に暗く沈みがちだったが、

阿合さんは、持ち前の明るさで、私達を励まし続けてきた。

彼女によって、今回の巨人騒動さえ、明るい話題に変わってしまった。

さて、それにひきかえ…

「おい、暗いぞ、パツ金少年」

「…っせえな…」

丸子君は相変わらずだ。

「昨日、見なかったの?」

「見たさ、だけど、それが何だよ? 能岡を探す手掛かりになるってのか?」

「そういうことじゃないけど… だけど、さあ… 能岡さんの事を忘れろとは言わないけど、

 もう少し、明るく…」

「うるせえな… 少し黙っててくれ」

「丸子君…」

それ以来、丸子君と話をすることがほとんどなくなった。

そして、私達の二年間が終焉を迎え、三年目を迎えることになる。

私達の未来を方向づける、この時期に、私達は大きな傷を背負うことになった。

一体何が私達を待ち受けているのか。一体どんな道を私達は進むのか。

私達は何を手に取り、何を捨てていくのか。

神さえも知る術が無い未来を、私達は自分の脚で進んで行く。

滅びへの道を、希望を胸に。  

 

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