学校が終わり、居ても立ってもいられない私は、気がつけば、フェリーに乗り込み、島へ行き、

あの組織のビルに向かっていた。

島には、あの時の様な結界は張られていない。

だが、寂しい森の道を、ひとり行くのは、意外とこたえる。

藪が生足をひっかき、細い線の様な傷ができる。だが、そんな痛みには気付かない。

常緑樹に、深秋の空、気温は低いが、歩き通しで、寒さは感じない。

滑りやすい革靴が、乾いた小枝を踏み折る音、

目の前を白く曇らす息の音、

全身を汗が駆け巡る。ここで全裸になって、衣類を束にして絞れば、滝が出現するであろう。

スカートが、汗で脚にまとわりつく。

擦れ、汗による吸いつき、締めつけ部分のかゆみ、衣服と自分が、別物であったことを気付かされる。

苦しい。

誰かと共に行くのであれば、話しながら、顔を見ながら、苦しさはまぎれる筈だ。

ひとりで、ただひたすら、暗い森を行く、この辛さは想像だにしなかったことである。

「能岡さん…」自然と声に出るのは親しい人の名前。

求めてやまない人の名前。

支えたい、支えてもらいたい、そんな人の名前。

「能岡さん… 能岡さん…!」  

 

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