その後、組織の本部にやってきた、警察を名乗る人達によって、反代理派は、全員が逮捕、

さらわれた学園の生徒達は、保護されたが、既に息絶えている者もいたり、

生きてはいても、今後目が覚める保証は無いという。

本土に戻された私達は、言葉も無く、ただただ、成り行きに身を任せる雨粒の様だった。

さて、事件に関わったことから、面倒なことになるのか、と思われたが、

私達の身辺は、現在、至って平穏である。

事件は、いつの間にか、身代金目的の誘拐として処理された、といつもの刑事さんから聞いた。

組織本部も相変わらず存続している。

クァ助は、マオさんとの交流を深めているらしい。

文景さんと東子さんの関係を探ろうと、今日も、能岡さんは私を連れて、

東子さんの後ろをつけて回っていた。東子さんには多分バレバレだったと思う。

能岡さんも多分知ってる。ただ、何かしていたいだけ。

あれ以来、私達の心には、ぽっかり穴が開いてしまった様な…

悲しい様な…寂しい様な…そんな気分になる。

こんなにも短い間の出会いと別れが、こんなにも重いものだったなんて…

昇降口を出たら、ひどい雨が降っていた。

私と能岡さんは、たった一つの傘を二人で差して、走って帰った。

二人が別れる三叉路、能岡さんは私に傘を押し付けた。

「これ、能岡さんの!」

「ちゃんと返してよね!」

走って去っていく能岡さんの背中を見送り、私はとぼとぼと帰路に就いた。

いつもの橋を渡る最中、傘を打つ雨の音が消えたのに気付いた。

空にはもう、晴れ間が差している。

雲の隙間から、太陽が顔を出し、その反対側には、虹がかかっていた。

ほんの通り雨だった様だ。

こんなにも短い雨、私の手に、能岡さんの傘、空は、こんなにも輝いている。

それに気付いた時、止んだはずの雨が、私の目を曇らせる。

地面に落ちた雫は、太陽の輝きを七色の宝石に変える。

雫を覗きこむ私の顔が、雫に映り込む。ぐしゃぐしゃで、ひどい顔。

精一杯の笑顔を作ってやった。うん、我ながら、かわいい。

 

 

空の上で見ている皆さん、聞こえますか?

あなたがいるから、私が生きています。

私は、あなたたちに恥じない様に、あなたたちの分まで生きていきます。

あなた達の誇りを、決して失わない、そういう生き方をしていきます。

見ていてください。

 

 

太陽が、まぶしかった。  

 

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