俺達は息を呑んだ。 そこにいるのは、見た事もない化け物。 化け物退治はこれまで何度もこなしてきたが、そのほとんどが、屍鬼という、 埋葬もロクにされていない死体に雑霊が入り込み、幽体で、周囲の土やらゴミくずやらを使って、死体を補完し どうにか、まともに動けるようになった、妖怪と呼ぶのも憚られるくらい、お粗末なものである。 だが、今目の前にしているのは、正に、正真正銘の妖怪、いや、何やら新しい生命体? とにかく、組織が、ろくでもないものを創ったことはわかった。 こんなのを見たのは、俺の身体に取り込まれる前の、組織の連中によって深手を負わされた、瀕死の右角以来だ。 「ば…化け物…」木ノ下が、見たまんまの事を言う。 「そういや、お前は初めてか?こういうの。 まあ、俺も、こんな手ごわそうなのは初めてだ。 こうなったら、やるっきゃねえか」 俺は、自分の身体に眠るもう一つの存在、右角に呼びかける。 “いつもながら、私に頼るのが遅いわね” まあ、いつも、右角の力を使うのは、ピンチになってからなので、今回はいつもよりはましな方だが。 「ふん… 化け物が出てくるとは思わなかったのでな。まあ、頼む」 “いいわ、いくわよ” そして、右角の力が解放される。
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