扉に入った瞬間から、強烈な殺気があちこちから感じ取れる。

なるほど、歓迎はされてはいない。

ふと、横に目をやると、木ノ下が上半身裸で身構えている。

「何で脱いでんだよ…」

「わからんか? 漢なら、服ではなく、七つのチャクラを纏うのだ!」

「わかんねえよ! ていうか、だったら何で下は穿いてんだよ!」

「見たいか?俺のそそり立つ…」

「やめんか! 緊張感持てよ!」

「うるせえ、気合入れなきゃ何事も始まらんだろ!」

「確かにそうだな…」

「ところで、右角の力は使わんのか?」

「人間相手に使う事もないだろ?」

「そっちこそ、あんまし舐めてかかると…」

「文句あるなら服着て言え」

敵地でうだうだ言いながら、長い廊下を歩いていると、首筋にチリッとした感覚を覚えた。

「伏せろ!」

俺は、木ノ下を思いっきり地面に叩きつけ、自分も伏せた。

その瞬間、後ろで大きな爆発音が響いた。

「さっそく挨拶か、反代理派は礼儀正しい奴が揃ってるじゃねえか」

「いってえなあ! もう少し優しくできねえのか?」

「男に優しくする趣味はねえよ!」

軽口を叩きながら、周囲の気配を探る。

「牽制のつもりか? 当てる気もねえ弾でビビらせようとは舐められたもんだ」

「牽制にグレネードとは景気がいい話じゃねえか、そんなに大量に支給されてねえ筈だぞ?」

「俺も現場で使ってるのは見たことねえな、支部に回ってきてねえのはどういうこった?」

「はいはい、愚痴は後だ、何せ、愚痴を言う相手が、まだ姿も見せちゃいねえ」

「そいつは困ったな、早く見つけ出して、現場の悲哀って奴を、その体に教え込んでやらなきゃなあ」

「もう一つ、今度から、妖怪対策での火器使用を制限するらしぞ」

「どこにいるんだ…見つけたら、生きていくのは大変なことなんだってことを、

その身をもって教えてやるよ!」

 

 

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