◆ 扉に入った瞬間から、強烈な殺気があちこちから感じ取れる。 なるほど、歓迎はされてはいない。 ふと、横に目をやると、木ノ下が上半身裸で身構えている。 「何で脱いでんだよ…」 「わからんか? 漢なら、服ではなく、七つのチャクラを纏うのだ!」 「わかんねえよ! ていうか、だったら何で下は穿いてんだよ!」 「見たいか?俺のそそり立つ…」 「やめんか! 緊張感持てよ!」 「うるせえ、気合入れなきゃ何事も始まらんだろ!」 「確かにそうだな…」 「ところで、右角の力は使わんのか?」 「人間相手に使う事もないだろ?」 「そっちこそ、あんまし舐めてかかると…」 「文句あるなら服着て言え」 敵地でうだうだ言いながら、長い廊下を歩いていると、首筋にチリッとした感覚を覚えた。 「伏せろ!」 俺は、木ノ下を思いっきり地面に叩きつけ、自分も伏せた。 その瞬間、後ろで大きな爆発音が響いた。 「さっそく挨拶か、反代理派は礼儀正しい奴が揃ってるじゃねえか」 「いってえなあ! もう少し優しくできねえのか?」 「男に優しくする趣味はねえよ!」 軽口を叩きながら、周囲の気配を探る。 「牽制のつもりか? 当てる気もねえ弾でビビらせようとは舐められたもんだ」 「牽制にグレネードとは景気がいい話じゃねえか、そんなに大量に支給されてねえ筈だぞ?」 「俺も現場で使ってるのは見たことねえな、支部に回ってきてねえのはどういうこった?」 「はいはい、愚痴は後だ、何せ、愚痴を言う相手が、まだ姿も見せちゃいねえ」 「そいつは困ったな、早く見つけ出して、現場の悲哀って奴を、その体に教え込んでやらなきゃなあ」 「もう一つ、今度から、妖怪対策での火器使用を制限するらしぞ」 「どこにいるんだ…見つけたら、生きていくのは大変なことなんだってことを、 その身をもって教えてやるよ!」
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