ビルがかなり近くに見える。ついにここまで来た。

「あそこに、真名ちゃんが…?」

たたらの力を最大限に発揮し、霊力を探る。

すると、非常に強力な霊力の壁に阻まれて、その向こうが見えない。

「これは、結界なんてものじゃない…力技の防壁だね」

「これほど強力な霊力を操るとはのう…一人の力ではあるまいな」

「行方不明になったのは皆、イデア能力者だって、東子さんは言ってた…」

「イデア能力…つまり、直接、現実に働きかけるタイプの霊能力…」と能岡さん。

組織に属しているだけあって、詳しいのだろうか?

「こんなところでグダグダ言っててもしょうがない、行こう」

「あ、ちょっと!」文景さんが突然、ビルに向かって歩き出したので、あわてて止めに入るが、

「連れ去られた奴らを返してもらうだけだ、やましい事をしに行くわけじゃないのに、

ためらう必要があるのか?」

「必ずしも、味方ってわけじゃ…」

「俺だって組織の人間だし、本部にも知り合いがいる。

それに、いざとなれば、然るべき対応を取らせてもらうまでだ」

「…」私は返す言葉が見つからなかった。

「あんたの連れは危なっかしい奴だな」

クァ助が能岡さんに言うと、

「そこが困ったところで…」と、ノロケに聞こえるんですけど、能岡さん。

とにかく、私達は、魔城に向けて足を踏み出した。

そこで待ち受けるものが何かも知らず、私達の未来も知らず…

頂としての能力を発揮すれば、世界の因果律はそこで一旦、白紙となり、再び再構築される。

私の幾度かの頂としての能力行使が、世界の形を歪めたのか、それとも、それを含めての決定事項だったのか

それは神でもわからない、いや、わかりながら、私達が彷徨うサマを見て楽しんでいるのだろうか?

私は、天を見上げた。重なり合う雲の縁、太陽の光が透けて見える先に、神の目があるのだろうか?

深淵を覗けば、深淵が覗き返すという。神よ、私の目が見えるか?

その時ばかりは、神を罵る軽口を叩く気は起きなかった。  

 

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