◆ クァ助の報告によると、島の中央の山の中腹に、用途不明の大きなビルがあるらしい。 文景さん達が言うには、そのビルが組織の本部だとのこと。 で、マオさんは、私達をそこに案内すると言いう。 「だけど、下手をしたら、あなたたちは組織を裏切る様なことに…」 能岡さんは悠然と首を横に振り、 「組織はどうでもいいけど、せっかくできた友達を裏切るなんてできないよ」 「…ありがとう…別に私がお礼を言う事じゃないけど…」 「気にしないで、当然の事なんだから。それに、私も嬉しい、あなたが来てくれて」 「能岡さん…」 私は妙に誇らしい気持ちになった。 「そろそろ静かにしといた方がいい、本部が近いぞ」 木々の切れ目から、鉄筋コンクリートの建造物が見え隠れする。 こんな森の中で、誰が何の目的で利用しようというのか、関係者でなければ絶対にわからない、そのビルは、 薄暗くなってきた空の色とあいまって、不気味にそびえ立つ魔城の様相を呈していた。
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