マオさんの案内で、山林の中を進んでいると、

木々の切れ目に見える空に、鳥の影があった。

「全く、役に立たないんだから…」

しばらくして、再び見えた木々の切れ目から、役立たずが降りてくるのが見えた。

「気配を感じるのう」マオさんが、クァ助の気配を感じ取ったらしい。

「大丈夫です、私の下僕ですから」

「誰が下僕だ」

向こうの茂みから、人間バージョンのクァ助がやって来た。

「これは失礼、この山にお住まいのたたらの方でございますね?」

「うむ…お主、たたらのカラスじゃな?」

さすがマオさん、っていうか、たたらなら当然なのかな?

「わたくし、名をクァ助と申します」

「たたらのカラスが名を名乗るとな?」

「不肖、わたくし、そちらの宮田家御息女に面倒を見ていただいておりまして、

人間社会に倣い、名など名乗っております」

「ふむ…たたらであるおれの前で名乗る以上、名を持つことに不満は無いのじゃな?」

「…不満が無いと言えば、それは嘘になります」

「…ということじゃが、どうなんじゃ?編さん」

「私が勝手に名付けただけだし、嫌なら結構なんですがね」

「だが、お前に、名を呼んでもらえる事は嫌では無い。むしろ嬉しいくらいだ」

「はぁ?」わざとそっけなく返事をした

「ほらね、こういうところが可愛い所で…

あだっ!?」

「馬鹿な事言ってんじゃないの、次はもっと大きい石投げるよ?

いいから、早く状況を報告しなさい」

「わかったから…

って、石探すのやめろ!」  

 

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