◆ マオさんの案内で、山林の中を進んでいると、 木々の切れ目に見える空に、鳥の影があった。 「全く、役に立たないんだから…」 しばらくして、再び見えた木々の切れ目から、役立たずが降りてくるのが見えた。 「気配を感じるのう」マオさんが、クァ助の気配を感じ取ったらしい。 「大丈夫です、私の下僕ですから」 「誰が下僕だ」 向こうの茂みから、人間バージョンのクァ助がやって来た。 「これは失礼、この山にお住まいのたたらの方でございますね?」 「うむ…お主、たたらのカラスじゃな?」 さすがマオさん、っていうか、たたらなら当然なのかな? 「わたくし、名をクァ助と申します」 「たたらのカラスが名を名乗るとな?」 「不肖、わたくし、そちらの宮田家御息女に面倒を見ていただいておりまして、 人間社会に倣い、名など名乗っております」 「ふむ…たたらであるおれの前で名乗る以上、名を持つことに不満は無いのじゃな?」 「…不満が無いと言えば、それは嘘になります」 「…ということじゃが、どうなんじゃ?編さん」 「私が勝手に名付けただけだし、嫌なら結構なんですがね」 「だが、お前に、名を呼んでもらえる事は嫌では無い。むしろ嬉しいくらいだ」 「はぁ?」わざとそっけなく返事をした 「ほらね、こういうところが可愛い所で… あだっ!?」 「馬鹿な事言ってんじゃないの、次はもっと大きい石投げるよ? いいから、早く状況を報告しなさい」 「わかったから… って、石探すのやめろ!」
|
|
ブラウザを閉じてください |