「さて、こんな島くんだりまで、何用じゃ?」 「実は、人を探していて…」能岡さんが口を開く。 「人…? 黒服の連中が、何やら、ぞろぞろと連れてきておったが…」 「黒服…! やはり組織の人達が関わっていた?」 「あの連中を知っておるのか?」 「私達は、あの組織に属しています」 「…そちらの巫女さんも?」 「私は、違うけど… ところで、その『黒服』が連れてきた中に、色素が薄い、両手に包帯を巻いた子はいなかった?」 「ふむ、覚えている。なかなか目立つ子じゃったからな」 「真名ちゃん…やっぱりこの島に…ありがとう、このお礼は、いつか…」 「ちょっと待った」 「何?」 「おれは、たたらじゃぞ? 困っている者が目の前におって、おれに情報を求めてきた、 これに、ただおれの見た事だけを言って、追い返すのは、たたらの流儀ではないぞ」 「と、申されると?」 「この島で勝手な事をしている連中を何とかしたいと思っていた所でもある。 どうじゃ、おれも一肌脱ごう。あ、おれは脱いだら意外とすごいぞ」 「聞いてません、っていうか、その気持ちは嬉しいけど…」 「おっと、それ以上は言うな、これは、たたらの流儀の話じゃ。 そちらが拒否するなら、こちらは独自の行動を取るまでじゃ」 「…わかったよ…しょうがないな…私は、編、宮田編」 「宮田家の?」 「御存じで?」 「割と最近まで、たたら達と交流もあった家柄じゃ。宮田家自身も、たたらの家系じゃし。 して、編さんの、神依りの腕前は?」 私は、内獅子を結び、術の出力を引き上げた。 私の身体が、たたら化していく。 能岡さん達が驚いている。 「どう?」 「なるほど、神に愛されておる様じゃ。もしや、頂では?」 「うん、頂の巫女と私を呼ぶ人は多いよ」 「…今まで少し、失礼な物言いをしてしまったな…すまぬ おれは、マオ。そちらは?」 「俺は、波鐘文景、こいつは観里、能岡観里だ」 「ふむ、よろしくな」 「あと、一人…いるんだけど、まあ、そいつはいいや」 「…いいのか?」
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