島までのフェリーに乗りに、港まで行くと、そこには見知った顔があった。

「あれは、能岡さん…?」

埠頭で、能岡さんと、長髪の男性が何やら話している。深刻そうだ。

長髪の人は、しきりに首を横に振っている。

その度に、能岡さんは強い口調で何かを訴えている様だ。

能岡さんも、真名ちゃんの行方を捜しているのだろうか?

そして、その結果、島にいる可能性を見出した…?

とすると、能岡さんって何者…?

突如、長髪の人がこちらを向いた。

とっさに私は隠れる。私と能岡さんは、今日学校でお互いの秘密を話す約束だ。

そのどちらも学校に来ていないのだから、もし私がいるとわかったらお互い気まずいはずだ。

「誰だ? 何故隠れる?」

あっさり見つかった。この人の勘は鋭いらしい。

今、私は、たたらとしての能力を抑えているため、見た目には普通の人間と変わらない。

だから、平静を装えば、怪しまれないはずだ。

「その巫女装束は、あんた、霊能者か何かか?」

思いっきり怪しまれてる。

「まだ子供じゃないか。学校は…

おい、観里!」

「!」

何かに勘づかれ、能岡さんを呼ばれてしまった…

「! 編ちゃん!?」

ああ、最悪…

「や…やあ…」

「あなたも、あの島が怪しいと?」

「…能岡さんも気付いたの…?」

「…まったく…しょうがねえな…三枚だな?

詳しい事は船で聞く。あと、二人とも、危ない事はぜったいするな」

「文景さん!」

能岡さんが笑顔になる。あの島に行く、行かない、で揉めていたのだろう。

文景さんと呼ばれたその人の顔には、照れと心配が入り混じっていた。  

 

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