◆ 島までのフェリーに乗りに、港まで行くと、そこには見知った顔があった。 「あれは、能岡さん…?」 埠頭で、能岡さんと、長髪の男性が何やら話している。深刻そうだ。 長髪の人は、しきりに首を横に振っている。 その度に、能岡さんは強い口調で何かを訴えている様だ。 能岡さんも、真名ちゃんの行方を捜しているのだろうか? そして、その結果、島にいる可能性を見出した…? とすると、能岡さんって何者…? 突如、長髪の人がこちらを向いた。 とっさに私は隠れる。私と能岡さんは、今日学校でお互いの秘密を話す約束だ。 そのどちらも学校に来ていないのだから、もし私がいるとわかったらお互い気まずいはずだ。 「誰だ? 何故隠れる?」 あっさり見つかった。この人の勘は鋭いらしい。 今、私は、たたらとしての能力を抑えているため、見た目には普通の人間と変わらない。 だから、平静を装えば、怪しまれないはずだ。 「その巫女装束は、あんた、霊能者か何かか?」 思いっきり怪しまれてる。 「まだ子供じゃないか。学校は… おい、観里!」 「!」 何かに勘づかれ、能岡さんを呼ばれてしまった… 「! 編ちゃん!?」 ああ、最悪… 「や…やあ…」 「あなたも、あの島が怪しいと?」 「…能岡さんも気付いたの…?」 「…まったく…しょうがねえな…三枚だな? 詳しい事は船で聞く。あと、二人とも、危ない事はぜったいするな」 「文景さん!」 能岡さんが笑顔になる。あの島に行く、行かない、で揉めていたのだろう。 文景さんと呼ばれたその人の顔には、照れと心配が入り混じっていた。
|
|
ブラウザを閉じてください |