◆ 今、この街は、私の身体の延長だ。 この街の中にある総てが、私の肌であり、臓物である。 道往く人、走る自動車、建設中のビル、総てが肌の感覚で伝わってくる。 ありとあらゆる動的な要素が、自分の身体感覚を通じて、情報となる。 この感覚が、気持ちいいかと言えば、全くそんなことはない。 この感覚の洪水を、まともな精神を保って受け入れられる人間はおそらく私を除いて他にいない。 ましてや、それを分析するなど… … おかしい…真名ちゃんはおろか、他の、行方不明になった生徒が、見つからない。 まさか、この街にはいない…? 私は探索範囲を広げた。隣の市、更にその隣の市にも。 いない… そこで、私は気がついた。 この街の海から見える離れ島。 あそこにも大きめな街がある。 一応この市の一部だ。 さっそく、見てみようとすると、大きな霊力の壁に阻まれた。 結界か。この程度の結界なら、中を見るのは容易だ。だが、わざわざ結界を張っているということは、 中で誰かが何かを企んでいる事の証だ。 だから、わざわざ見なくとも、真名ちゃん達がいる可能性は高い。 にしても、私に気付かれずにこの巨大な霊力を操るとは大したものだ。 真名ちゃん、今行くよ。
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