「あ、勝手に…」

部屋に入ると、窓を勝手に開けてクァ助が入ってきていた。

「赤の奴との話が長すぎだ」

「いいじゃん、別に…」

「まだ味方と決まったわけじゃないぞ」

「そうだけど…だけど、お互い簡単に手出しできる相手じゃない事は理解してるから…」

「それ故にいつ寝首を掻かれるかわかったもんじゃないんじゃないか?」

「まあね…だけど、それは相手も同じこと…」

「信用するのはいいが、油断はするなよ」

「わかってる…」

「他にも油断ならない奴はいるだろ?」

「見てたの?」

「カラスの羽はなんのためにある?」

「御苦労さん…」

「友達が増えるのはいいが、敵が友達になる道理があるってのか?

あれか? 宿敵と書いて…」

「あー、うるさい…カーカーわめかないで…あと、着替えるからどっか飛んでて」

「いつも言ってるだろ、俺はカラスだ。人間の…」

「こっちが気にするんだっつーの!」

蹴りをかまして、クァ助がどっかに飛び立つのを見届けて制服を脱ぐ。

確かに、友達のいる学校生活は初めてで、私はうかれていた。

この状況下、いつ敵対する者に寝首を掻かれても文句は言えない。

あの学校の性質を考えれば、私の周りには怪しい者だらけだ。

どうする?心を読む能力は学校では抑えているが…

思えば、能岡さんだって、家の事を知ってほしくないとか、怪しいと言えば怪しい。

真名ちゃんだって、あの包帯の秘密、そしてあの火のイメージ…これも怪しい。

そしてユキさん…!

ユキさんは、私の能力を知っていて、心のブロックを強化しているからちょっとやそっとでは本心は探れない。

じゃあ、能岡さんや真名ちゃんは…友達を裏切る様な真似は…

「クソッ…」  

 

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